笑わない女、大間乃トーコちゃんのデビュー作となるイメージビデオ「大間乃トーコ DE・BUT」のDVD版のレビューです。販売元はリバプール、レーベルはアイドルニッポンです。
http://www.idol-nippon.com/product/lpfd-334/
青森県出身、芸能事務所プラチナムプロダクション所属のグラビアアイドルです。
大間沖で水揚げされた後高額で流通する鮮魚「大間のマグロ」から着想を得た芸名を授かる昨年デビューの19歳。字面だけ見ると生活臭のない、ドラマの役名の様な響きがあります。
余白埋めたがりな黒髪に段の浅めな二重まぶた、ぷっくりしつつ山なりを描く口元がチャームポイント。薄曇りな顔立ちに加えて声質も低くくぐもっていて、見た感じ陰のある印象を覚えます。
体付きには文句のつけようが無い一方でアイドルの流れを汲んだ売れ線とは毛色の異なった雰囲気。大手事務所の熱いプッシュが吉と出るか凶と出るか、オタクの間でどのように受け止められるかが非常に興味深い女の子です。
都内某所、及び静岡県熱海市の秘宝館で撮影されています。大間乃トーコちゃんの髪の長さは肩にかかる長さのミディアムヘア、前髪は眉が隠れる長さで下ろしています。
様々なロケーションに身を置いた大間乃トーコちゃんのフリートークに一問一答、及びポージングを見せる内容になっています。
本作はいくつかの面から見て異色作となっています。まずは「衣装」。このテの作品はひとつのChapterはひとつの衣装で完結するのが通例となっていますが、本作では脈略もない衣装チェンジがあり、それも一度や二度ではなく繰り返すChapterもあって、総時間に差はない分忙しない印象を覚えます。
さらには「構成」。凡そ用意されたセリフを喋っている感はなし。それ以上にグラビア的にウケがいいキャラを作っている感すら薄く、ろくすっぽ笑わずに秘宝館や冴えないヴィレッジヴァンガードみたいなロケ地でキョロキョロとカルチャーショックを受ける立ち振る舞いはこちらにしてみれば予想外で、何か狐につままれた錯覚を覚えてしまいます。
唯一いつものイメビっぽい作りなのが最終Chapter7。薄暗い和室でセリフっぽいやり取りの後に笑顔混じりで追いかけっこ、若干慣れずによそよそしいもののキャピキャピしきれない可愛らしさのあるシーンとなっています。
笑わない・素っ気ない・戸惑いを隠さない…、新たなるグラドルの形を切り拓けトーコ!
独特の世界観が渦巻いた作品となっています。昔ながらの純喫茶や胡散臭さ満載の雑貨屋さん、そしてまさかの秘宝館という一風変わったロケーションに招かれたルーキーグラドル。いつものイメビとは随分と趣きの異なる印象を受けました。
男性を主なターゲットとしているグラビア世界の中でも最もファンタジーが具現化されているのがイメージビデオであるのは衆口一致するところでしょう。何をされてもニッコリニコニコ・まどろっこしい暗喩プレイは冷静に考えたら常連以外お断りな空気がビンビンに漂っています。
演者も撮影クルーも製作者もお馴染みのプロフェッショナルで回している業界故、オタクの口元へご馳走を用意する仕事こそ的確な一方で、「南国で水着着て笑ってる」という基本線にどれも大差は無く、言われて初めて気付くレベルの水着のサイズや生地の透け感に差異を見出すようになっているんですから、「金太郎飴」と揶揄されるのも無理はありません。
初めて姿を目にした時から売れ線とは様子が異なっていた大間乃トーコちゃん。本作を視聴するにあたって「色」が出ていればなという期待込みだったのですが案の定、今のグラドル界においては随分と個性的な存在に映ります。
時に一重だったり二重だったり奥二重だったりと不安定な目元にはどこかパッションが不足気味。喋り声だってロートーンの地声全開でキャピキャピ感は程無し。立ち振る舞いだって視聴者に媚びずマイペース、薄気味悪い展示物に戸惑い・時に怪訝な在り様で置いてけぼりに。
かわいい彼女とラブラブする王道路線とはかけ離れています。テンションは明らかに2割3割引きです。だがしかし「では退屈か」と言われればさにあらず。
怪しい情景に身を置いた彼女が発する「不安」「重苦しさ」「ミステリアス」。仮にこちらが求めていた形とは違ったとしても、グラビアに対する先入観を脇に置いてみれば、それは充分ある少女のリアルな肖像を表現していると言えるのでは無いでしょうか。
そんな訳で本作は大間乃トーコちゃんの個性が伺える作品に。ひと味違ったグラビアパフォーマンスはなかなかクセになります。
観ていてまず印象的だったのが「ポージング」。彼女はお喋りが不安定な一方でポーズを決めている際は腹が据わっており、カメラが寄ろうが動揺している素振りは無し。雑念起こさず見入ることが出来ます。
カメラに臆さないのと同時に彼女はカメラの前ではなかなか笑わない。脚先から胸元から順にせり上がった末に待ち受けるのはちょっとムッツリ・冷ややかな見下ろし・血色感じないさながらドールなご尊顔。
或いはクールビューティーと言えるかも知れないし、ツンツンしているのかも知れない。いやしかし時に焦点が定まらず、伏し目がちに直視を避けるのは毅然とした強さがあるとは言えず、むしろもっとずっと歳相応に「か弱い」。
ふらふらふらふら目線の彷徨う言いようのない孤独感。庇護を求める捨て犬のようないじらしい少女の姿。生気の不足した姿が枯れたオッサンにはグッと来てしまう訳です。
つらつらと述べましたが同時に強調したいのが「ボディ」のポテンシャル。圧力すら感じさせる肉々しさは極めて将来有望と言わざるを得ません。
ズシリと重い95cmのバストは丸みが凄まじくサイズが甘けりゃ脇から顔を覗かせる。ケツからストンと落っこちる太ももだって迫力満点。腹回りだって余裕の疑われるプニプニ感。オタクを訴求する萌ポイントに満ちています。
三角ビキニで銭湯に現れるChapter1での挨拶代わりの一撃が強烈。パンパンに張った風船を抱えるには心許ないサイジングで谷間と横乳がド派手に横溢。全体的にアピールが甘いのは否めないものの、圧倒的な素材力で黙らすことこそ大間の名を冠した一番星の真骨頂か、とも…。
シーンで印象的だったのがChapter7のポージング、締め切った畳敷き和室に寝っ転がるトーコちゃん。スポットライトで照らされながら寝返り打って・しなだれ寄せて、白い粉吹く大福餅を押しつぶし。薄暗い中浮かぶつっけんどんな態度がミステリアスな妖気を表出。
本作ではロケーションに限らず衣装もレアものをお召しのトーコちゃん。北斎の波が描かれたスカートを履いていたり(Chapter2)朱色の着物を一枚羽織って花魁風情の日本髪にまとめてみたり(Chapter3)、所謂「和風レトロ」を志向したルックスはインパクトあり。
特に目に留まったのがChapter3で披露している赤白黒の襟付きボーダーワンピース姿。秘宝館の展示室をうろつく彼女は60年代を思わすハイカラガールへ、原色用いたレトロな色使いがとってもチャーミング。ポニーテールも良く似合っています。
アメ舐め・アイス舐め・触られといった気の利いたプレイは0。イメビチェックリストに照らし合わせれば相当に手ぬるい内容だと言わざるを得ません。
またワンシーンで7度もお色直しするChapterもある等、ひとつの衣装をじっくりと見せてくれない作りは個人的に相当なマイナスポイントです。写真集で用いた衣装を全て詰め込んだからというのが実情かと推測しますが、結果目に留まった姿がすぐに終わったのは残念でなりません。
春の萌芽と共に登場、可憐なる大器の一本釣り!
Chapter1。